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<DKモデルとは>
環境変化に柔軟に対応できる動態的(DYNAMIC または DOTAITEKI)で、職務・職能あるいは業績に連携した絶対額の階層(KAISO)構造を持つ賃金体系です。
人材育成と結びつく絶対評価(目標との比較による評価)を前提としています。
<TMモデルとは>
前年の本給額(初任給)に、毎年の昇給額を積み上げ(TSU-MIAGE)る構造を持つ従来型の賃金体系です。
相対評価(ヒトとヒトとの比較による評価)によって昇給額を決定します。
<激変する企業環境>
企業の主な経営資源であるモノ、カネ、ヒトの劇的な変化により、従来型の賃金体系では企業経営が困難になっています。
<TMモデルの問題点>
●急速な高齢化に伴って平均年齢が上昇し、人件費の増大により経常利益の大半を失う恐れがあります
●「学卒直入者」と「昇給額」が重視され、企業の支払い能力や各人が遂行すべき職務基準を重視していないため、企業業績と賃金とが乖離した状態も起こりえます
●上位等級者の賃金が高くなるのを恐れて、若年者の賃金額を圧縮せざるを得ないため、20歳代後半から30歳代の社員の賃金が異常に低くなる「中だるみ」が発生します
●IT化、価値観や雇用形態の多様化の中で、社員の納得のいく処遇は難しい
●定年延長の実現が難しい
●役職ポスト不足の中で、多数者のモラルが低下します
●相対評価では人材育成・適材適所配置は難しい
●人事評価の結果は毎年の昇給額には反映されても、賃金の絶対額(基本給)には反映されにくいため、中途採用者に不利
●年功型退職金制度では退職金が雪だるま式に増大化し、支払不能になる恐れがあります
<DKモデルの特徴>
●ヒト(急速な高齢化)・モノ(進展するIT革命)・カネ(成熟経済化)の変化に適応しています
●賃金の継続支払いが確保でき、企業の発展と雇用の安定がはかれます
●適正水準・公正配分・安定性が得られますので、社員の納得性が高い
●絶対評価システムと連携した唯一の本給ですので、人材育成がはかられ、チームワークをこわしません
●円滑な導入がはかれます
<DKモデルの仕組み>
1.社員の貢献度は基本的に担当職務で決まりますので、第1に職務を通じて本給をとらえます(等級Ⅰ~Ⅶ)。役割や担当責任のレベルを示すのが「等級」です。
賃金システム研究所は、従来の年功等級でも、職能等級でも、また欧米の職務等級とも異なる、日本的な知恵を活かした、「役割等級」という考えをいち早く紹介しました。
2.次に、同じ職務を担当しても、ヒトにより成果は異なりますので、さらに、等級内を人事評価による発揮能力段階(級)に分けます(1級~5級)。つまり、結果責任のレベルが「級」です。
社員のチャレンジや成長を促す、DKモデル®の特徴となる要素です。現在の級を超える貢献(評語)がみとめられば、級昇給します。
3.最後に、生活が成り立つように生計費を反映した修正要素(号)を取り入れます。「月俸制型」の場合の「号」は、原則1号のみで、号昇給はありません。年功等の要素を加味しますと、号数が膨らむ場合もありますが、多くの企業が、5号~35号を限度で、企業環境の変化に適応させながら、ある程度の号昇給を行っています。
年功廃止型(NH)、年齢制限型(NS)、号数制限型(GS)の大きく3つタイプがあります。
下図は、「年齢制限型」の例です。この他に、年俸制運用とでもいうべき、「年功廃止型」(「月俸制型」)、勤続による号昇給の頭打ちを行う「号数制限型」等、年功是正型がいくつも開発されていて、自社の人事戦略が活かされるよう設計されます。
4.こうしてDKモデルの本給体系の基本が完成します。企業の人事戦略を反映した基準線・補助線の選択を行うことで、環境に適応したシステムができあがります。
下図は、年功を加味した「年齢制限型」の例です。
DKモデル(動的・階層) | TMモデル(積み上げ) | |
社員意識への影響 | 社員の社内位置づけが明確になり、やる気に結び付き、安心感が得られる | 不明瞭なことが多く不安感が漂う |
中途採用者処遇 | 公平に処遇できる |
学卒直入者基準なので調整が必要 |
若年社員への影響 | 公平に処遇できる |
不公平感が漂う (「中だるみ」のもと) |
人事評価の反映 | 本人にフィードバックできる (「絶対評価」が使える) |
公開できない |
人材育成への影響 | チャレンジした者が報われるので人材が育つ |
チャレンジしても報われない |
企業経営への影響 | 付加価値生産性が向上するだけでなく企業業績を反映できる(人件費を有効に活用できる) | 必ずしも企業業績を反映できない |
企業ビジョン実現性 | ビジョン実現に直結している |
必ずしも企業ビジョン実現には結びつかない |
社員の自己実現度 (働きがい) |
高い |
低い |